なぜなぜ分析がうまくいかない6つの要因|真因にたどり着くコツ
今回は、なぜなぜ分析がうまくいかないで悩んでる人たちに向けての記事になります。
「なぜなぜ分析がうまくいかない理由がわからない、結局“注意不足”で終わってしまう」
「“なぜ?”を繰り返しているだけで、浅い原因しか出てこない」
「対策につながらない」
こうした悩みを感じている人は多いのではないでしょうか。
「なぜなぜ分析」は一見シンプルで簡単そうに見えますが、実際には真因にたどり着くのが難しい手法です。
私自身も、何度やっても納得できる原因にたどり着けず、手戻りを繰り返した経験があります。
よってこの記事では、
- なぜなぜ分析がうまくいかない理由
- 陥りやすいポイント
- 真因にたどり着くための具体的なコツ
これらについて、実務目線で解説していきます。
なぜなぜ分析がうまくいかない6つの要因
まずは、なぜなぜ分析でよく見られる6つの失敗パターンです。
① 出発点(事象)を間違えている
なぜなぜ分析は、どこから始めるかで結果が大きく変わる、と言っても過言ではありません。よくあるのが、
- 「確認ミスがあった」
- 「注意不足だった」
といった“解釈”から始めてしまうケースです。
しかし本来の出発点は、実際に起きた事実(トリガーとなった事象)です。
ここがズレると、いくら深掘りしても真因は外れるか、得られる真因が少なくなります。
② 「なぜ?」を繰り返すだけで浅く終わる
なぜなぜ分析は「5回なぜを繰り返す」と聞いたことがあると思いますが、回数に意味はありません。ただ、5回程度で真因にたどり着くと言われているだけです。
重要なのは、因果関係が成立しているかです。
そして、なぜなぜ分析を進めていくうえで、浅く終わってしまうよくある失敗として、「同じことを別の角度からいっているだけ」があります。
例えば、「早口で聞き取りずらい」 → なぜ? → 「早口でしゃべる癖があった」等があげられます。
これは同じようなことを並べているだけなので、無駄な「なぜ?」になります。
よって、思いつきで進めると、深掘りしているようで浅く終わってしまいます・・・
では、どうすればいいのか、についての回答として、「原理原則で書く」というやり方を、後半で解説します。
③ 論理がつながっていない
- AだからBになった
- BだからCになった
と言いながら、実際にはつながっていないケースは非常に多いです。
④ 真因が1つしか出てこない
これは危険なサインです。
なぜなら、事故の原因は基本的に複数あるため、1つしか出てこない場合は、見落としや思考の偏りが起きている可能性があります。
⑤ 最初に結論を決めている
- 「結局は教育不足」
- 「本人の意識の問題」
例えば上記のような前提で進めると、その結論に誘導される分析になります。
⑥ 責任追及型になっている
本来、なぜなぜ分析は対策を導くための手法です。
しかし、誰が悪いかを探す分析になりがちです。
真因にたどり着くためのコツ
ここからが本題です。
私が実際に意識しているコツを5つ紹介します。
① まず「VTA(時系列整理)」を作る
なぜなぜ分析の精度は、事前整理でほぼ決まります。
ここで有効なのがVTA(時系列整理)です。
- 何が起きたのか
- どの順番で起きたのか
- どこで判断が入ったのか
つまり、上記のような人や物の動きも含めて、情報を時系列順に整理し、事故に至るまでの流れを見える化(視覚化)します。さらに、その時の判断や迷い、思い込みといった感情も細かく入れると、よりいいです。
さらに、ここで特に重要なのは、事実を書くことです。事実ではないことを書いていると、分析が誤った方向にいってしまう可能性があります。ただ、事実はわからないがどうしても書いた方がいい内容の場合は、「推定」であるとわかりやすくして書くこともできます。
そして、ここまで整理すると、「なぜ?」が自然に見えてくる状態になります。

② 真因は「複数ある前提」で考える
まず、一つの直接要因に対する真因は、事故に至るまでの背景を考えると、基本的に複数存在します。
これは以前の記事でも紹介している、スイスチーズモデルと同じ考え方です。

スイスチーズモデルは、複数の防護壁の穴が重なって事故になることを意味しています。
つまり、複数の真因が重なっているのが通常です。
この「どれだけ出せるか」で、対策の質と厚みが決まります。

③ 原理原則を意識して書く
「なぜ?」が枝分かれしていかない理由として、原理原則で考えられていないことがあります。つまり、事象が起きる物理的な現象から考えることが重要です。
例えば、「コップを手から落とした」という事象について、なぜ1を考えてみると、

このように、なぜ1を原理原則で考えると、なぜ2が考えやすくなります。
④ 「なぜ?」⇄「だから」で往復する
なぜなぜ分析では、一方向に掘るだけでは不十分です。
確認すべきは、「だから」で逆戻りできるかです。
- A → なぜ? → B
- B → なぜ? → C
つまり、このときにCだからB、BだからAと説明できるか?です。
もし、これができなければ、論理が崩れています。
※ここは実際にやると以外と難しいポイントです。

⑤ m-SHELで偏りをチェックする
そして、導出した真因はそのままにせず、m-SHELで分解して確認します。
- m(管理)
- S(ソフト:手順・マニュアル)
- H(ハード:機器)
- E(環境)
- L(本人)
- L(他者)
例えば、LーL(人間関係やコミュニケーション等)ばかりに偏っている場合、それは「人にしか着目していない」可能性があります。
その場合は、別の視点(S・H・E)から再度掘ることが重要です。

⑥ 一人でやらない
これはかなり重要です。
なぜなら、一人での分析には限界があるためです。
つまり、一人でやると視点が偏ったり、自分が持っている知識以上の分析はできません。
よって、私のおすすめとしては、
- 同じ現場の人
- 別の立場の人(安全・整備など)
を含めることです。
これによって、視点が増える=真因の網羅性が上がることに繋がります。
まとめ
なぜなぜ分析がうまくいかない理由は、
- 出発点(事象)の間違い
- なぜ?を繰り返すだけで浅く終わる
- 論理が繋がらない。
- 原因の単一化
- 責任追及型の思考
にあります。
そして、私がおすすめするなぜなぜ分析のやり方は、
- まずVTAを作る
- 真因は「複数ある前提」で考える
- 原理原則を意識して書く
- 「なぜ?」⇄「だから」で往復する
- m-SHELで偏りをチェックする
- 一人でやらない
この6つです。
そして重要なのは、なぜなぜ分析は「対策を導くための手段」であるということです。2度と同じことを起こさないように、いろんな視点から分析し、真因をたくさん導出する意識が大事です。
最後に、これまでなぜなぜ分析がうまくいかなかった方々が、この記事を見て少しでもなぜなぜ分析がやりやすくなったと感じてくれたら幸いです。




