根本原因分析
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なぜなぜ分析とは|原因を深掘りするシンプルな方法

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なぜなぜ分析について話していく前に、みなさんは事故やトラブルが発生したとき、

  • 「確認不足だった」
  • 「不注意だった」
  • 「ミスをした」

という結論で終わってしまうことはありませんか?しかし、それだけでは本当の原因にはたどり着けません。なぜなら、確認不足や不注意は、原因ではなく結果として現れていることが多いからです。

重要なのは、「なぜその行動が起きたのか」を掘り下げることです。そこで活用されるのが、なぜなぜ分析(Why-Why Analysis)です。

この記事では、

  • なぜなぜ分析とは何か
  • VTA分析との関係
  • 正しい進め方
  • よくある失敗例
  • 現場で活用するポイント

をわかりやすく解説します。

この記事は次のような方におすすめです。

  • ヒヤリハット分析を担当している方
  • 事故調査を行う方
  • 安全担当者や管理職
  • 再発防止策を考える立場の方
  • VTA分析の次のステップを知りたい方
  • 「安全」に興味がある方

まず始めにやっていただきたいこととして、最近発生したヒヤリハットやミスを1件思い出してください。そして、「なぜその行動をしたのか?」を一度だけ考えてみてください。

多くの場合、そこで出てくる答えは

  • 急いでいた
  • 忘れていた
  • 勘違いした

といったものではないでしょうか?

実は、そこからさらに掘り下げることが、なぜなぜ分析の出発点になります。

なぜなぜ分析とは

なぜなぜ分析とは、問題や事故に対して「なぜ?」を繰り返し問いかけることで、根本原因(真の要因)を見つける分析手法です。

これはトヨタ生産方式の中でも活用されている有名な手法であり、製造業だけでなく、医療、航空、消防、建設など、さまざまな分野で利用されています。

VTA分析との関係

前回の記事で紹介したVTA分析(Variation Tree Analysis)では、事故に至るまでの流れを整理し、事故に直結した出来事(直接要因)を特定しました。

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しかし、直接要因が分かっただけでは、再発防止には不十分です。

例えば、VTA分析の結果「手順を省略した」という直接要因が見つかったとします。ここで終わるのではなく、「なぜ手順を省略したのか?」を掘り下げるのが、なぜなぜ分析です。

つまり、「VTA分析」にて何が起きたのかを整理したのち、「なぜなぜ分析」を実施し、なぜ起きたのかを掘り下げる、という関係になります。

なぜなぜ分析の目的

なぜなぜ分析の目的は、単なる原因探しではありません。本当の目的は、再発防止につながる根本原因を見つけることです。

例えば、「確認不足だった」という結論では、再発防止策は「もっと確認する」になりがちです。しかし、確認不足が起きた背景に、教育不足、手順の複雑さ、時間的プレッシャーがあったなら、対策は大きく変わります。

現場ではこう考える

安全管理の現場では、事故が起きると「誰がミスをしたのか」に注目しがちです。しかし、本当に知りたいのは、「なぜそのミスが起きたのか」です。

個人を責めても、同じ環境なら同じ問題が再発する可能性があります。そのため、人ではなく仕組みに目を向けることが重要です。

なぜなぜ分析の進め方

STEP1 問題となった事象を書く

まずは分析対象となる事象を書きます。

例:誤操作が発生した

ここでは、VTA分析で出てきた排除ノード(これがなければ事故にならなかった事象)を選択します。

STEP2 「なぜ?」を繰り返す

なぜ① 手順を間違えた

なぜ② 手順を正しく理解していなかった

なぜ③ 教育が十分でなかった

なぜ④ 教育の仕組みが整備されていなかった

なぜ⑤ 教育内容が標準化されていなかった

根本原因

STEP2の結果、この「誤操作が発生した」という直接原因に対しでの根本原因(真因)は「教育体制の不備」となります。

なぜなぜ分析で重要な3つのルール

① 一つの事実に対して一つの「なぜ」

悪い例:疲れていたし忙しかった

良い例:疲労が蓄積していた

分析対象を絞ることで、論理が明確になります。

② 「だから」で逆から読めるか確認する

例えば、先ほどのSTEP2を逆戻りしてみましょう。

教育内容が標準化されていなかった

だから

教育の仕組みが整備されていなかった

だから

教育が不十分だった

だから

手順を理解できなかった

だから

誤操作が発生した、となります。

このように、論理的につながることが重要です。

③ 回数にこだわらない

一般的には「5回のなぜ」と言われます。しかし、必ず5回である必要はありません。

つまり大切なのは、再発防止につながる根本原因まで到達することです。

具体例

事例① 点検漏れ

問題:点検項目を確認しなかった

なぜ?

点検を急いでいた

なぜ?

作業開始が遅れていた

なぜ?

前工程が長引いた

なぜ?

人員不足だった

この場合、単純な確認不足ではなく、人員配置の問題が見えてきます。

事例② ヒヤリハット報告が少ない

問題:ヒヤリハット報告が提出されない

なぜ?

報告しない

なぜ?

面倒だと感じている

なぜ?

報告書が複雑

なぜ?

記載項目が多すぎる

この場合、個人の意識ではなく、報告制度そのものに問題がある可能性があります。

よくある誤解

「なぜなぜ分析は犯人探しである」

違います。なぜなぜ分析は、個人を責めるための手法ではありません。

目的は、再発防止です。

「必ず5回やらなければならない」

回数は目安です。3回で十分な場合もあれば、5回以上必要な場合もあります。

「注意不足が根本原因である」

注意不足はほとんどの場合、さらに掘り下げられます。そのまま終わらせないことが重要です。必ず注意不足になってしまった背景があるはずです。

なぜなぜ分析の限界

なぜなぜ分析は根本原因(真因)を導き出すためにとても便利な手法ですが、万能ではありません。無理に分析すると、分析者の思い込みが入りやすくなります。また、事実ではなく推測で進めると、誤った結論にたどり着くことがあります。

そのため、VTA分析などで事実を整理してから実施することや、他の立場の人たちと一緒にやることが重要です。

まとめ|「なぜ?」を繰り返して根本原因を見つける

なぜなぜ分析は、問題に対して「なぜ?」を繰り返し、根本原因(真因)を見つける手法です。

なぜなぜ分析(フォーマット)

重要なのは、

  • 人を責めない
  • 事実をもとに分析する
  • 仕組みの問題を探す

ことです。

再発防止につながる分析を行うためには、表面的な原因で終わらせず、一歩深く掘り下げる姿勢が必要です。

この記事を読んだあとにやること

過去のヒヤリハットや事故報告を1件選び、

次の手順で分析してみてください。

  1. VTA分析で直接要因を確認する
  2. 「なぜ?」を3~5回繰り返す
  3. 最後に仕組みや環境の問題がないか確認する

これだけでも、見えていなかった原因が発見できることがあります。

次の記事

なぜなぜ分析によって、根本原因を見つけることができました。では、「その原因をどのような視点で整理し、対策につなげればよいのでしょうか?」

次の記事では、m-SHELモデルを使った原因分析と対策立案の方法について解説します。

参考にした考え方・文献

  • 河野龍太郎『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』
  • James Reason『Human Error』
  • トヨタ生産方式における「5 Whys(5回のなぜ)」
  • ICAO Safety Management Manual(Doc 9859)
  • 中央労働災害防止協会 安全管理資料

※「現場ではこう考える」は筆者の実務経験および安全管理の考え方をもとに記載しています。一般論とは区別してお読みください。

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高リスク環境下における安全管理やヒューマンファクターに関する知見をもとに執筆しています。
高い安全性が求められる現場での実務経験をもとに、「ヒューマンエラー」や「事故の仕組み」をわかりやすく解説しています。 海上自衛隊にて回転翼機の運航に10年以上従事し、現在は民間にて防災ヘリ操縦士として救助活動等に携わっています。 これまで多くの事例や事故に触れる中で、「そもそも安全とは何か」という問いに強い関心を持つようになりました。 現場では、人のミスを個人の問題として扱うのではなく、 「なぜそのミスが起きたのか」 「どうすれば防げるのか」 という視点で、安全対策や再発防止に向き合ってきました。 このブログでは、そうした現場経験と学びをもとに、日常生活や仕事の中で役立つミスを防ぐための知識と安全の考え方を発信しています。
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