事故はなぜ起きるのか|エラーの種類と見えないリスク
なぜ事故は起きるのか?
これまでの記事では、
- ヒューマンエラーは人の特性と環境によって起きる
- 対策は人ではなく環境を変えることが重要
という考え方を解説してきました。


事故やトラブルが起きたとき、
「不注意だった」「確認不足だった」といった言葉で片付けてしまうことは多いのではないでしょうか。
しかし実際には、事故は単純なミスだけで起きるものではありません。
そこには、さまざまな種類のエラーや、表に出ていないリスクが関係しています。
では次に考えるべきなのは、
「そのエラーはどのように起きているのか」
そして
**「本当の原因はどこにあるのか」**です。
この記事では、エラーの種類と事故の構造について解説します。
エラーの種類を理解する
エラーは一括りにされがちですが、実は性質によって分類できます。
ここでは代表的な3つを紹介します。
ランダムエラー(偶発的エラー)
ランダムエラーとは、
予測が難しく、偶然に発生するエラーです。初心者といった、作業に慣れていない人に発生するエラーのことです。
例えば、
- たまたま見落とした
- 一瞬の判断ミス
などが該当します。
完全に防ぐことは難しいですが、頻度を下げることは可能です。
システマティックエラー(系統的エラー)
システマティックエラーとは、
仕組みや構造に問題があり、繰り返し発生するエラーです。
例えば、
- 分かりにくい手順
- 間違えやすい設計
- 誤解を招く表示
などです。
これは個人の問題ではなく、
環境や仕組みの問題です。
スポラディックエラー(突発的エラー)
スポラディックエラーとは、
普段は問題ないが、特定の条件で発生するエラーです。
ベテランと言われる方々に起きやすいエラーのことで、特に防ぐのが難しいです。
例えば、
- 繁忙時だけ発生するミス
- 特定の人や状況で起きるトラブル
などです。
見逃されやすいですが、事故につながるリスクを持っています。
事故はどのように起きるのか
ここで重要なのが、
事故は単一のエラーで起きるのではないということです。
その考え方を示したのが、スイスチーズモデルです。
スイスチーズモデル
スイスチーズモデルでは、事故は
複数の防護(壁)に空いた穴が一直線に並んだときに発生する
と考えます。
この「穴」とは、
- 人間の特性
- 環境の問題
- 手順の不備
などです。
つまり、
1つのミスだけでは事故にはならず、複数の要因が重なって初めて事故になる
ということです。

ハインリッヒの法則
さらに有名なのが、ハインリッヒの法則です。
これは、
1:29:300
という比率で、
- 1件の重大事故の裏には
- 29件の軽微な事故があり
- 300件のヒヤリ・ハットがある
とされています。

本当に重要なポイント
ここで最も重要なのは、
この300件の下に、さらに多くの「見えていないリスク」が存在する
という点です。
見えているのは氷山の一角
実際に私たちが認識できるのは、
- 事故
- トラブル
- ヒヤリ・ハット
といった「表に出たもの」だけです。
しかしその下には、
- 見過ごされた違和感
- 小さな手順のズレ
- 慣れによる省略
といった、
表に出ていないリスク(潜在的リスク)が大量に存在しています。
なぜ潜在リスクが重要なのか
重大事故は、突然起きるわけではありません。
多くの場合、
- 小さなズレ
- 見逃された違和感
- 繰り返される軽微なミス
が積み重なった結果として発生します。
つまり、
事故を防ぐためには、表に出た結果ではなく、その手前を見る必要があるのです。
まとめ
エラーには、
- ランダムエラー
- システマティックエラー
- スポラディックエラー
といった種類があります。
そして事故は、
- 複数の要因が重なり(スイスチーズモデル)
- 多くの小さな異常の上に成り立っている(ハインリッヒの法則)
という構造を持っています。
重要なのは、
見えている事故ではなく、その下にある「潜在的リスク」に目を向けることです。
では、
- 潜在的リスクはどのように見つけるのか
- 本当の原因はどこにあるのか
- 再発を防ぐには何をすべきか
これらはどのように考えればよいのでしょうか。
次の記事では、
**「根本原因分析」**について解説していきます。





