認知的特性とヒューマンエラーの関係|ヒューマンファクター
認知的特性ってなに?多くの人がこんな疑問を持つと思います。簡単に言うと、人が無意識でやってしまっていることの一部です。
そもそも、安全管理やミス防止を考える上で欠かせないのが、「ヒューマンファクター(人間の特性)」という視点です。
言い換えると、ヒューマンファクターとは、人間がもともと持っている特性のことであり、最大の特徴は
👉 「人間の基本特性は変えられない」
という点にあります。
心理学者レヴィンの法則
B = f(P, E) が示す通り、
- 行動(B)は
- 人(P)と環境(E)
の組み合わせで決まります。
つまりヒューマンエラーは、
👉 人の特性と環境が合っていないときに起きるものです。
したがって、人の特性についての話で、前回は「身体的特性」について解説したので、

今回は、人が無意識に陥る
**「認知的特性」**について解説します。
見たいものを見て、聞きたいものを聞く特性
人間は、目や耳から入ってきた情報を
そのまま正しく理解しているわけではありません。
■ 勝手な解釈
例えば、あいまいな情報があると、人は前後の情報から意味を補います。
- 「12, 14」の間 → 「13」と読む
- 「A, C」の間 → 「B」と読む
👉 実際には同じ形でも、文脈で意味が変わる
■ 期待的聴取(Wishful Hearing)
人は「聞きたいように聞く」傾向があります。
例えば、
👉「Dの鍵取って」と言われても
👉「Bの鍵取って」と聞き間違える
つまり、これは
期待や思い込みが認知に影響する典型例です。
「異常を認めない」脳の防衛本能
人間には、現状を維持しようとする性質があります。
つまり、脳が勝手に以下の2件解釈してしまうのです。
■ 正常化の偏見
もし異常が起きても、
👉「たいしたことはない」
👉「そのうち収まる」
と楽観的に考えてしまいます。
例えば:
- 地震でもすぐ避難しない
- 体調不良を軽く考える
■ こじつけ解釈
矛盾する情報があると、人は不安になります。
そのため、
👉 無理やり辻褄の合う説明を作る
という行動をとります。
例えば
お風呂上りにテーブルの上にアイスが置いてあった。
- なんでだろうと感じながらも
- 「妻が用意してくれた」「妻の優しさ」
と解釈し、食べてしまいました。しかし、このアイスは妻が洗濯物を干し終えた後に食べようとしていたものであり、これを見た妻に怒られ。
要するに、私は自分の都合のいいように、アイスが置いてある理由を解釈し、行動した結果、妻の怒りを買ったということです。つまり、私の「こじつけ解釈」により起きたヒューマンエラーですね・・・
👉 違和感よりも「納得」を優先してしまう
記憶と注意の限界
人間の脳には、処理できる量に限界があります。
■ 記憶の限界
- 一度に覚えられる量には限界がある
- 時間とともに忘れる
👉 数日後にはほとんど覚えていない
■ 注意の限界
- 一度に複数のことに注意できない
- 集中すると他が見えなくなる
つまり、👉 見ているのに見えていない状態が起こる
■ 記憶の検索不能
緊急時には、
👉 知っているはずのことが思い出せない
という現象も起きます。
学習の落とし穴
人は学習する生き物です。しかし、この学習にも落とし穴があります。
それは、人は新しいことを覚えても、過去の記憶の影響を受け続けるということです。
■ 古い手順の干渉
例えば、新しい手順を覚えても、
👉 古い手順が突然出てくる
特に、
- 緊急時
- 疲れているとき
に起きやすいです。
まとめ
まず、人間の認知的特性は
- 思い込み
- 楽観視
- 記憶の限界
- 注意の偏り
といった形で、日常的に影響しています。
さらに、これらは
👉 ヒューマンエラーの原因となる要素です。
しかし、重要なのは人は正しく認識できないことがあるという前提に立つことです。
そのため、
- 表示をわかりやすくする
- 手順をシンプルにする
- 誤解しにくい仕組みを作る
要するに、👉 人に合わせた設計(環境づくり)
これが安全につながります。

では、こうした認知的特性に対して、
具体的にどのような対策を取ればよいのでしょうか。
今後の記事では、
👉 認知エラーを防ぐ具体的な対策についても解説します。

